|
４月１９日、第２期の通算２３１回目の学習会をやりました。今回は、第４篇「商品資本および貨幣資本の商品取引資本および貨幣取引資本への（商人資本への）転化」の第１７章「商業利潤」の第２１段落からでした。本章も今回３回目なのですが、なかなか難しく第３２段落までしか進みませんでした。
第４篇 商品資本および貨幣資本の商品取引資本および貨幣取引資本への(商人資本への)転化
第１７章「商業潤」その3
純粋な流通費
商業資本の貨幣資本は産業資本から商品資本を買い取るためのものでした。これは商品の買取資本であり、購買価格と一致します。しかし商人が自らの業務を果たすためには他にも費用がかかります。商品の売買という流通業務に掛かる費用です。これは流通費と呼ばれます。本来の売買業務には運輸、保管、仕分けといった付随業務がともないますが、これらは本考察では流通業務から排除されます。
だから「これらいっさいの費用は、商品の使用価値の生産に費やされるのではなく、商品の価値の実現に費やされるのである。それは純粋な流通費である。それは直接的生産過程にははいらないが、流通過程にはいるのであり、したがって再生産の総過程に」（第１９段落、原書３００頁）はいります。純粋な流通費にはどんなものがあるでしょうか。第１８段落に具体的に列挙されています。
「買うことの費用であり、売ることの費用である。すでに前にも述べたように、このような費用は計算や簿記や市場操作や通信などに帰着する。そのために必要な不変資本は、事務所や紙や郵便料金などから成っている。その他の費用は、商業賃金労働者の充用に前貸しされる可変資本に帰着する。（発送費や運輸費や関税前払などは、一部は、商人が商品を買い入れるときにそれを前貸しするものと見ることができ、したがって商人にとっては購買価格にはいるものと見ることができる）」（同前）
なお、第２０段落には次のような文章があります（丸括弧で囲まれています。メモのようです）。
「（そのほかにも次のことが研究されなければならないであろう。第一に、ただ必要な労働だけが商品の価値にはいるという法則は、流通過程ではどのようにして貫かれるか。第二に、蓄積は商人資本の場合にはどのように現われるか。第三に、商人資本は社会の現実の総再生産過程ではどのように機能するか。）」（同前）
第一点は、価値を形成しない商業的労働の意義に関わる問題でしょうか。直ぐ先で論じられます。第二点は、商人資本の蓄積（規模拡大）ということでしょうか。論じられていないように思います。第三点は、前章（第１６章「商品取引資本」）の最終段落で論じられている、との指摘がありました。
《以下は今回の範囲です。》
商品の売買に要する時間（商品の流通時間）は商品に価値をつけ加えない
まず第２１段落は次の一文ですが、草稿では丸括弧で囲まれています。
「これらの費用は、商品としての生産物の経済的形態から生ずる」（３００頁）
私的労働の生産物は商品という形態を取ります。商品は流通しなければなりません。したがって流通費用が発生します。
マルクスは、第２２段落で、商品の売り買いのために費やされる時間は、商人が費やそうと商品に価値をつけ加えないこと、また商人が流通業務を担わなければ産業資本家階級によって生産された総利潤の分け前を受け取ることもないこと等、これまで何度も述べてきたことを確認したあと、次のように述べます。
「商業資本家は、剰余価値量の分けまえを受けるために、つまり自分の前貸を資本として増殖するために、賃金労働者を充用する必要はないのである。彼の営業や彼の資本が小さければ、彼自身が彼の充用するただ一人の労働者であってもよい。彼に支払われるものは、利潤のうちの、商品の購買価格と現実の生産価格との差額から彼のために生ずる部分である」（３０１頁）
これは商人が賃労働者を雇わずに自ら商業を担う場合です（①）。彼は小商人として｢商品の購買価格と現実の生産価格との差額｣を全部取得します。
別のケースが出てきます。一つは、資本家であるものの｢前貸しする資本量が小さい｣場合です（②）。もう一つは、産業資本家の単なる流通代理人が流通業務を担う場合です（③）。
「〔②の場合〕彼が実現する利潤は、比較的高給な熟練賃金労働者一人の労賃よりもけっして大きくないこともあろうし、場合によってはそれよりも小さいことさえあるであろう。実際にも、商人のほかに、〔③の場合〕生産的資本家の直接の商事担当者である仕入れ人や販売人や出張員が機能していて、彼らは労賃の形なり販売のつど得られる利潤の配当（Ｐｒｏｖｉｓｉｏｎ， Ｔａｎｔｉｅｍｅ）の形なりで同じかまたはより多くの収入を得ているのである。第一の場合〔②の場合〕には、商人が独立な資本家として商業利潤を取り入れる。他方の場合〔③の場合〕には、産業資本家の賃金労働者である店員に利潤の一部分が、労賃の形なり、彼を直接の商事担当者とする産業資本家の利潤の歩合配当〔新日本社版訳｢比例的分け前｣〕の形なりで支払われるのであって、この場合には彼の雇い主は産業利潤も商業利潤も振りこむ〔新日本社版訳｢取り込む｣、こちらの方がよいと思われる―引用者〕のである。しかし、これらのどの場合にも、たとえ流通担当者自身にとっては自分の収入が単なる労賃として現われ、自分のした労働への支払として現われようとも、また、そういうものとして現われない場合には、彼の利潤の大きさが比較的高給な労働者一人の労賃にしか匹敵しないことがあろうとも、彼の収入はただ商業利潤だけから生まれるのである。このことは、彼の労働が価値創造労働ではないということから出てくるのである」（３０１－３０２頁）
①②③のどの場合も産業資本家の商品流通を代理人として振る舞います。①の場合は商人の手数料、②の場合は少額であれ商業利潤、③の場合は賃金もしくはあるいは歩合配当（報酬）、というように様々な形態を取るとはいえ、彼らの収入は「商業利潤だけから」生じます。というのは彼らの労働は価値を形成せず、したがって彼らの収入は自ら生み出したものではないからです。産業資本家が流通代理人を雇って自ら流通業務を行う場合は、商業利潤は独立して現われませんが、資本家の利潤のうちの商業利潤に相当する部分から賃金や報酬が支払われるのだと思います。
商人の介入によって生産過程が継続され、さらに流通過程が短縮される
「流通操作が長びくということは産業資本家にとっては、（１） それによって彼が生産過程そのものの指揮者としての自分の機能の遂行を妨げられるかぎりでは、彼自身の時間の損失を表わし、（２） 彼の生産物が貨幣形態または商品形態で流通過程に、つまり彼の生産物が価値増殖されず直接的生産過程が中断されている過程に、滞留するのが長びくということを表わしている。直接的生産過程が中断されないためには、生産が制限されなければならないか、または、追加貨幣資本が前貸しされて生産過程がいつでも同じ規模で続くようにされなければならない。これは、どちらにしても、これまでの資本で得られる利潤が小さくなるということか、または、これまでの利潤をあげるためには追加貨幣資本を前貸ししなければならないということかに帰着する。こういうことは、産業資本家に代わって商人が現われても、すべて同じである」（３０２頁）
流通期間は生産の中断期間です。というのは生産物が流通過程に留まっている限り、次の生産に移れないからです。ここに「直接的生産過程が中断されないためには、生産が制限されなければならないか、または、追加貨幣資本が前貸しされて生産過程がいつでも同じ規模で続くようにされなければならない」とあります。生産過程が中断されないための方法には二つあります。一つは生産の規模を縮小することです。例えば個別資本家が１０００の貨幣資本を持っているとします。たとえば生産期間（労働期間）と流通期間が各４週間だとしましょう。４週間の生産期間のあと４週間の流通期間に移りますが、流通期間のあいだ生産が中断されます。１０００の資本を５００ずつに分け、最初の生産期間のために５００の資本を投じ、そのあと残りの５００を投じれば生産を中断せずに済みます。でもそうなると、生産の規模が縮小してしまいます。生産の制限とは生産の縮小という意味です。もう一つは、追加の貨幣資本を前貸しすることです。例えば、最初の生産期間が終わったあとに直ぐさま１０００の追加の資本を投じれば、同じ規模で生産を続けられます。前者の場合は前貸資本が縮小するので利潤が減少します。後者の場合は、どの期間も同じ利潤を得られますが、追加の貨幣資本が必要になります。
「こういうことは、産業資本家に代わって商人が現われても、すべて同じである」とはどういうことでしょうか。つまり商人の貨幣資本の前貸しも、生産中断を避けるための産業資本の追加資本も、果たす役割は基本的に同じだということです。
商人資本が流通業務を担うとどうなるでしょうか。
「 産業資本家は流通過程であまり多くの時間を費やさなくなるが、そのかわりに商人がそれを費やすことになる。前者は流通のために追加資本を前貸ししなくてもよくなるが、そのかわりに商人がそれを前貸しすることになる。または結局同じことになるが、産業資本のかなり大きな部分が絶えず流通過程をうろついていることはなくなるが、そのかわりに商人の資本がまったく流通過程のなかに閉じ込められている。また、産業資本家のあげる利潤は少なくならないが、そのかわりに彼は自分の利潤の一部分をすっかり商人に譲り渡してしまわなければならない」（同前）
「商人資本が、それの必要な限界のなかに制限されているかぎり、相違はただ次の点だけである」
「すなわち、資本機能のこのような分割によって、ただ流通過程だけに費やされる時間が少なくなり、流通過程のために前貸しされる追加資本が少なくなり、そして、総利潤中の、商業利潤の姿で現われる損失分が、この分割のなされない場合に比べてより小さくなるということだけである」（同前）
生産過程の中断を避けるために産業資本が前貸しする追加の貨幣資本と、商人資本が前貸する貨幣資本との役割は基本的に同じで、違う点は商人資本が専門的に流通業務を担う方が「商業利潤の姿で現われる損失分」が小さくなり、全体として利潤率が増大するというのです。
マルクスは、これ以降、そのことを具体的に証明しようとしています。
「前にあげた例で商人資本１００のほかにある〔「とならんで存在する」新日本出版訳〕７２０ｃ＋１８０ｖ＋１８０ｍが産業資本家に１６２すなわち１８％の利潤を残し、したがって１８の控除をひき起こすとすれば、もしこの独立化がなければ必要な追加資本はおそらく２００となり、そうなれば産業資本家の総前貸は９００ではなくて１１００となり、したがって剰余価値１８０にたいしてはたった１６ ４／１１（％）の利潤率となるであろう」（同前）
前例では商人資本の貨幣資本（商品の買取資本）は１００でした。その場合の一般的利潤率は次のとおりでした（流通費は捨象）。
流通業務を産業資本が自ら行うなら、追加資本（貨幣準備）は商人資本１００よりも大きくならざるを得ません。追加資本が例えば２００だとすれば、一般的利潤率は次のようになります（同じく流通費は捨象）。
生産過程の中断を避けるために準備された追加資本を加味すると、産業資本の方が利潤率は低くなっています。商人資本は、産業資本の追加資本（貨幣準備）の必要性を小さくして一般的利潤率を高める作用をしていることになります。
純粋の流通費はいかに補填されるか？
「いま、自分自身の商人である産業資本家が、流通のなかにある自分の生産物が貨幣に再転化する前に新たな商品を買うための追加資本のほかに、さらに資本（事務所費や商業労働者の賃金）〔純粋な流通費のこと〕を自分の商品資本の価値の実現のために、つまり流通過程のために、前貸ししたとすれば、それはたしかに追加資本ではあるが、しかし剰余価値を形成しはしない。それは商品の価値から補填されるよりほかはない。なぜならば、これらの商品の価値の一部分は再びこのような流通費に転換されなければならないからである。しかし、これによって追加剰余価値は形成されない。社会の総資本について言えば、これは事実上次のようなことに帰着する。すなわち、社会の総資本の一部分は価値増殖過程にはかかわりのない付随的な操作のために必要であるということ、そして、社会的資本のこの部分は絶えずこの目的のために再生産されなければならないということである。個々の資本家にとっては、また産業資本家階級全体にとっても、そのために利潤率が減らされるのであるが、それは、同じ量の可変資本を動かすために必要なかぎりで追加資本がつけ足されれば、そのつど生ずる結果なのである」（３０２－３０３頁）
商品の買取資本のほかに、純粋な流通費（以降、単に流通費と記します）が追加資本として必要になります。その場合、この流通費はいかに補填されるかという問題が生じます。追加資本は価値を形成しないので、それは商品価値から（正確には剰余価値から）しか補填され得ません〔「社会的資本のこの部分は絶えずこの目的のために再生産されなければならない」とありますが、再生産も再現もしないというのが正確だと思います〕。
「このような、流通業務そのものに結びついた追加費用が、いま産業資本家から商業資本家によって引き取られるかぎりでは、やはりこのような利潤率の減少が起きるのであって、ただその度合いが小さくその経路が違っているだけである。その場合には事柄は次のように現われる。すなわち、商人はこのような費用が存在しない場合に必要であろうよりも多くの資本を前貸しするのであり、また、この追加資本にたいする利潤は商業利潤の総額を大きくし、したがってより大きな量の商人資本が産業資本といっしょに平均利潤率の平均化に加わってきて平均利潤が下がるのである。前にあげた例で商人資本１００のほかにさらに追加資本５０が問題の費用のために前貸しされるとすれば、今度は総剰余価値１８０が、生産的資本９００〔７２０ｃ＋１８０ｖ〕・プラス・商人資本１５０〔買取資本１００＋流通費５０〕、合計１０５０に配分されることになる。そこで、平均利潤率は１７ １／７％に下がる。産業資本家は商品を商人に９００＋１５４・２／７〔９００×１７ １／７％〕＝１０５４・２／７で売り、商人はそれを１１３０（１０８０＋５０――この５０は彼がさらに補填しなければならない費用）で売る。そのほか、商業資本と産業資本との分割には、商業費用の集中が伴い、したがって商業費用の縮減が伴うとみなさなければならない」（３０３頁）
ここでは、「流通業務そのものに結びついた追加費用」すなわち流通費は一種の空費であって、その限り利潤率の減少をもたらすということが言われています。流通費が加わると一般的利潤率は以下のようになります。
商人資本に流通費のための追加資本を捨象した場合の利潤率は１８％でしたから、少し減少しています。
なお「産業資本家は商品を商人に９００＋１５４・２／７＝１０５４・２／７で売り、商人はそれを１１３０（１０８０＋５０――この５０は彼がさらに補填しなければならない費用）で売る」とあるのですが、１１３０だと価値以上で売ることになってしまいます。マルクスは、流通費は消費者（社会）が負担すると考えていたのでしょうか？ そうなると「それ〔流通費〕は商品の価値から補填されるよりほかはない」という文言と一致しません。
さらにこの部分について、新日本出版訳は、次のようなコメントを加えています。
【１０５４ ２／７は、９００の１７ １／７％、１０８０は、１０５４ ２／７に１５０の１７ １／７％＝２５ ５／７を加ぇたもの。なおマルクスは、ここでは５０の追加資本（流通費）を平均利潤率形成への参加の面からのみ研究し、それがまず剰余価値から控除される面を考察していないようである。１８０ｍから５０が控除されれば、１３０のｍが９００＋１００＋５０＝１０５０に配分され、平均利潤率は１２ ８／２１％に低下し、産業資本家は商品を９００＋１１１ ３／７（すなわち９００×１２ ８／２１％．産業利潤）＝１０１１ ３／７で商人に売り、商人はこれを１０１１ ３／７＋５０＋１８ ４／７（すなわち、９００×１２ ８／２１％．商業利潤）＝１０８０で売ることになるのではないかと思われる】
報告者（筆者）は、最終的には１８０ｍから流通費５０が控除（補填）されるとしても、この論理段階では控除は必要ない、したがってアンダーライン部分は余計であるとしました。しかし、マルクスが、商品が価値以上の１１３０で売られることによって流通費が補填されると本気で考えていたなら、話は違ってきてきます。
商業労働者は商業資本家のために剰余価値の取得をつくりだす
「そこで問題は、商業資本家――ここでは商品取引業者――が使用する商業賃金労働者については事情はどうか？ということである」（同前）
純粋の流通費には、流通業務に従事する労働者を雇用するための費用つまり可変資本も含まれます。まず、その費用で買われる商業労働者の性格が考察されます。
「一面から見れば、このような商業労働者も他の労働者と同じに賃金労働者である。第一には、労働が商人の可変資本によって買われ、収入として支出される貨幣によって買われるのではなく、したがってまた、個人的サーヴィスのためにではなく、ただそれに前貸しされる資本の自己増殖という目的だけのために買われるというかぎりで、彼は賃金労働者である。第二には、彼の労働力の価値、したがって彼の労賃が、他のすべての賃金労働者の場合と同じように、彼の独自な労働力の生産・再生産費によって規定されていて、彼の労働の生産物によって規定されてはいないというかぎりで、彼は賃金労働者である」（３０３－３０４頁）
商業労働者は、第一に商業資本によって資本の自己増殖のために買われる点で、第二に彼らの労働力の価値は、彼の独自な労働力の生産・再生産費によって規定されるという点では、産業労働者とは少しも違っていません。
では商業労働者と他の産業労働者とでどの点が異なるのでしょうか。
「商人は単なる流通担当者としては価値も剰余価値も生産しないのだから（というのは、彼が彼の出費によって商品につけ加える追加価値は、前からある価値の追加に帰着するからである、といっても、今度は、彼は自分の不変資本のこの価値をどのようにして維持し保存するのか？ という問題が迫ってくるのではあるが）、商人によって同じ諸機能に使用される商業労働者も商人のために直接に剰余価値をつくりだすことはできないのである」（３０４頁）
マルクスは、商人は商業労働者をだますことによって儲けるのではないと言ったあと、次のように述べています。
「産業資本は、自分が少しも等価を支払っていない労働が商品に含まれており実現されているのでその労働を売ることによって利潤をあげるのであるが、それとまったく同じように、商業資本は、商品のなかに（商品の生産に投ぜられた資本が総産業資本の可除部分として機能するかぎりで、その商品のなかに）含まれている不払労働を全部は生産的資本に支払わないでおきながら、商品を売るときには、まだ商品のなかに含まれているが自分はそれに支払っていないこのような部分にも支払ってもらうことによって、利潤をあげるのである。剰余価値にたいする商人資本の関係は、産業資本のそれとは違った関係である。産業資本は他人の不払労働の直接的取得によって剰余価値を生産する。商人資本は、この剰余価値の一部分を産業資本から自分のほうに移させることによって、それを自分のものにする」（同前）
商業資本は、商品のなかに含まれている不払労働の全部を生産的資本に支払わないでおいて、商品を売るときにはその分を商品の販売の際に支払ってもらうことによって利潤をあげる、それは産業資本が生み出した剰余価値の一部分を商業資本が自分のもとに移させることだとあります。
「商業資本は、ただ価値の実現という自分の機能によってのみ、再生産過程で資本として機能するのであり、したがってまた、機能する資本として、総資本によって生産された剰余価値から分けまえを引きだすのである。個々の商人にとっては、彼の利潤の量は彼がこの過程で充用することのできる資本の量によって定まり、そして彼の店員の不払労働が大きければ大きいほど彼はそれだけ多くの資本を売買に充用することができる。商業資本家は、彼の貨幣を資本にする機能そのものを、大部分は彼の労働者たちに行なわせる。このような店員たちの不払労働は、剰余価値をつくりだしはしないとはいえ、商業資本家のために剰余価値の取得をつくりだすのであって、結果から見ればこの資本にとっては同じことである。だから、この不払労働はこの資本にとっては利潤の源泉なのである。もしそうでなければ、商人的業務はけっして大規模には、つまりけっして資本主義的には、営まれることができないであろう」（３０５頁）
商業労働者は不払労働をするとあります。彼らの労働は剰余価値を生み出さないのに、どうしてでしょうか？ 彼らの不払労働は「商業資本家のために剰余価値の取得をつくりだす」というのです。商業労働者の賃金は、他の産業労働者と同様、その労働力の価値すなわちその再生産費によって決まります。この価値がたとえば４労働時間に相当すると、これが必要労働時間（支払労働）になります。そしてたとえば８時間働くなら、残りの４時間が不払労働になります。労働時間が１時間延びて９時間になるなら、不払労働が１時間増えます。不払労働が大きければ大きいほど、より多くの資本を商品の売買に充てることができます。「労働者の不払労働が生産的資本のために直接に剰余価値をつくりだすのと同様に、商業賃金労働者の不払労働は商業資本のためにこの剰余価値の分けまえをつくりだす」（同前）というのです。
第３２段落まで読んだところで時間が来てしまいました。
（雅）
|